節気便り
2026.02.04
立春
春めく
二十四節気では「立春」の頃──、
日ごとに寒さが緩み、木々の芽が膨らみ始めます。
二十四節気の最初にあたる立春。
この日から五月初頭に訪れる「立夏」までが、
暦の上での春とされています。
立春は春の始まりを告げる日。
やわらかな陽射しが凍てついた大地を解かし、
生命の息吹に満ちていきます。
まだ春の浅いこの頃は、冬と春が静かに行き交う時季。
寒さが戻り、川や池などの水辺に張る氷は
「薄氷(うすらい)」と呼ばれ、
春の季語として多くの詩歌に詠まれてきました。
その語感のやわらかさと儚さは、
今にも解けてしまいそうな、うっすらとした氷そのものを表すかのようです。
“薄氷の 草の離るる 汀(みぎわ)かな”──、
俳人の高浜虚子は早春の水辺で解けた氷の下から草が現れる情景を詠み、
冬が去りきらないうちに春が忍び寄る季節のあわいを
薄氷という言葉で静かに映し出しました。
立春は新しい年を迎える大切な節目。
旧暦では「立春正月」とも言い、
この日を境に気の流れが改まるとされています。
立春の朝に汲む水は「若水(わかみず)」と呼ばれ、
邪気を祓うと信じられてきました。
かつては人に会わないように早朝に井戸水や湧き水を汲み、
「福くむ、徳くむ、幸いくむ」など、めでたい唱え言を口にしたのだとか。
汲んだ若水は神棚に供えられた後、料理に使われるほか、
その水で淹れた茶を飲んで一年の健康を願います。
春の語源は、万物が生じる「発る」や
草木の芽が「張る」、天候が「晴る」ことから。
芽吹きの兆しに目を向けながら、
新たな一年によい気が巡ることを願って。