七夕

二十四節気では「小暑」の頃──、
水辺では蓮が花開き、蝉の声が聞こえ始めます。

小暑とは、暑さが次第に強まる時季のこと。
この日から八月初旬に訪れる立秋までが「暑中」にあたり、
この期間に暑中見舞いを贈るしきたりがあります。

七月七日は、七夕(しちせき)の節句。
五色の短冊を笹竹に吊るし、星に祈りを捧げることから
「星祭り」とも呼ばれています。

七夕は、古代中国に伝わる織姫と彦星の星合伝説や、
織女にあやかり技芸の上達を願う「乞巧奠(きこうでん)」に、
日本古来の民間儀礼である「棚機(たなばた)」の風習が結びついたもの。
この時季に行われる迎え盆の行事とも繋がり、
日本独自の慣わしとして広く親しまれるようになりました。

星は、季節の移ろいや時の流れを知るための道しるべとされ、
天と人とを結ぶ神聖な存在でもありました。
七夕が「星祭り」と呼ばれるのは、星への信仰に由来するもので、
その輝きに無病息災や豊作への祈りを重ねたとされます。
七夕が行われた旧暦七月七日は、現在の八月頃にあたり、
梅雨明け後の澄んだ夜空に、天の川がひときわ美しく輝く時季。
人びとはその両岸に瞬く織姫星と彦星を見上げながら、
遙かなる天へと思いを馳せました。

古よりさまざまな風習が息づく七夕。
乞巧奠の儀式では、祭壇に供物や五色の糸を献じ、
梶(かじ)の葉に願い事をしたため、星への手向けとしたそうです。
また、宮中では「角盥(つのだらい)」と呼ばれる水を張った器に星を映し、
その姿を眺めながら詩歌や書の上達を願う行事が催されていたといいます。
揺らぐ水面に映る星々は、手の届かない天上の世界を身近に感じさせる存在。
天に思いを託すその風雅な心は、
笹竹に短冊を吊るして星に願う慣わしとして今も大切に受け継がれています。

年に一度の星の逢瀬を祝す七夕──。
天を見上げて、星の瞬きに心を寄せる特別な宵を。