木守り

二十四節気では「小雪」の頃──、
千両の実が赤く色づき、山には初雪が舞い始めます。

小雪とは、冷たい雨が雪に変わる頃のこと。
陽射しが弱まり、寒さが厳しくなります。

田畑では収穫を終え、冬支度を始めるこの時季。
翌年の実りに祈りを込め、
梢に一つ二つ残しておく柿の実のことを、
「木守り(きまもり)」と呼びます。

澄んだ青空に映える、枝先に残された小さな朱色の実──、
かつて家々の庭先には、このような光景がよく見られました。

身近な庭木として親しまれている柿の木ですが、
古来にはあの世とこの世を結ぶ、“霊木”として信仰されていました。
柿の実は、その魂を具現化したものであるとされ、
すべてを採ってしまうと木の魂までをも奪ってしまうと信じられ、
一部の実を残しておく慣わしが生まれたのだそうです。

木守りには、神様への感謝とともに豊作の祈りを込めたお守りとして、
また、食料の乏しい冬を迎える野山の鳥たちへの
お裾分けの意味合いもあります。
木守りの語源は、葉が散った木にぽつんと残された実が、
自ら名乗りを上げているように見えることから「木名乗り(きなのり)」とも、
最後に残った実が、過ぎゆく秋の名残を感じさせることから、
「木名残り(きなごり)」と呼んだことからとも言われます。

日本に受け継がれる心温まる慣わし、木守り。
古の人々の自然を慈しむ心が宿った、初冬の風物詩です。