節気便り
2025.07.07
小暑
七夕
二十四節気では「小暑」の頃──、
水辺では蓮が花開き、蝉の声が聞こえ始めます。
小暑とは、暑さが次第に強まる時季のこと。
この日から八月初旬に訪れる立秋までが「暑中」にあたり、
この期間に暑中見舞いを贈るしきたりがあります。
七月七日は、七夕(しちせき)の節句。
五色の短冊を笹竹に吊るし、星に祈りを捧げることから
「星祭り」とも呼ばれています。
七夕は、古代中国における、
織姫と彦星が年に一度の逢瀬を許される星合伝説や、
織女にあやかり技芸の上達を願う「乞巧奠(きこうでん)」の風習に、
日本古来の農耕儀礼である「棚機(たなばた)」が結びついたもの。
棚機は旧暦七月七日の夜に行われた神事で、
「棚機津女(たなばたつめ)」と呼ばれる若い女性が、
水辺の機屋(はたや)に籠もって神に捧げる衣を織り、
豊作祈願や厄祓いをしました。
この風習の名がもとになって中国の七夕行事と融合し、
やがて「七夕」の字に“たなばた”という読みがあてられたと言われています。
古くから「七」という数字には特別な意味があり、
古代中国や日本においては暦や天体との深い繋がりから、
“天と地を結ぶ数字”とされてきました。
七夕では「七」にまつわる慣わしがさまざまにあり、
かつては七度食事をし、七度水浴びをすることで厄を祓い、
七つの灯火で星に祈りを捧げたのだとか。
灯火は織姫と彦星の逢瀬を照らし、
人びとの願いを天へと導く道しるべとされていました。
また、七種の野菜や穀物を供え、
笹竹に吊るした短冊に七つの願いごとをしたためるといった風習もあり、
今でも大切に受け継がれています。
天を見上げて、一夜限りの儚き逢瀬を祝す七夕──。
星に願いを託し、静かな祈りを捧げる美しき夕べを。