秋彼岸

二十四節気では「秋分」の頃──、
彼岸花が咲き揃い、田園風景を鮮やかに彩ります。

秋分とは、太陽が真東から昇って真西に沈み、
昼と夜の長さがほぼ等しくなる日のこと。
この日を境に少しずつ陽が短くなっていきます。

秋分の日を中日とする三日間は「秋彼岸」。
寺院では「彼岸会(ひがんえ)」と呼ばれる仏事が行われ、
仏壇に供え物をして先祖の霊を供養します。

彼岸は、春と秋の年二回行われる日本独自の仏教行事で、
春分、秋分を中日とした七日間のこと。
いずれの期間も墓参りや法要を行い、
先祖や故人へと思いを馳せて感謝を捧げます。

秋彼岸の頃に花の盛りを迎えるのが「彼岸花」。
真っ直ぐに高く伸びた茎の先に、艶やかな赤色の花を咲かせます。
別名の「曼珠沙華(まんじゅしゃげ)」は、
サンスクリット語で「天界に咲く花」という意味。
“おめでたいことが起こる兆しに赤い花が天から降ってくる”
という仏教の経典からついた名前です。
彼岸花の球根部分には毒があることから、
動物除けのために墓地周辺に植えられたのだとか。
毎年、秋彼岸に合わせて咲くその姿は、
健気で忠実な墓守のようでもあります。

秋彼岸の供え物として欠かせない「おはぎ」。
小豆の粒を萩の花に見立てて名付けられました。
古くはおはぎと言えば粒餡が主流でしたが、
これは小豆の収穫期が秋であり、採れたての小豆はやわらかく
香りもよいので、皮ごと用いたからだそうです。
餡と餅の二つを合わせることには、
先祖に自分の心を重ね合わせるという意味合いがあります。

心静かに向き合う秋彼岸──、
先祖や故人を偲び、日々の感謝を捧げる大切な期間です。