節気便り
2025.06.21
夏至
夏越の祓
二十四節気では「夏至」の頃──、
石榴(ざくろ)や葵など、夏を彩る花々が咲き始めます。
夏至とは「日長きこと至る(きわまる)」という意味で、
一年で最も昼が長く、夜が短くなる日のこと。
本格的な夏が近づき、日ごとに暑さが増していきます。
六月三十日は「夏越の祓(なごしのはらえ)」。
この半年間の穢れを祓い清めて、
残る半年間の無病息災を祈願します。
夏越の祓は、十二月の晦日に行われる「年越の祓」とともに、
心身の穢れを祓い清める「大祓(おおはらえ)」の神事であり、
お盆や正月などハレの日を迎えるための重要な節目となっています。
“夏越”には、夏を過ぎ越えるという意味があるほか、
“和し(なごし)”に通じることから、
悪神を鎮めて災厄を免れるようにとの願いも込められているのだとか。
六月の異称から「水無月の祓」とも呼ばれています。
この時季、各地の神社の境内や鳥居の下には、
茅(ちがや)で編んだ大きな輪が設けられ、
無病息災を祈願する「茅の輪くぐり」が行われます。
また、紙を人の形に切り抜いた「形代(かたしろ)」で身体を撫で、
息を吹きかけて穢れや邪気を移し、
川や海に流す「形代流し」と呼ばれる慣わしも。
千三百年以上も前から唱えられてきた「大祓詞(おおはらえのことば)」は、
大祓の行事において神職や参拝者が唱える祝詞(のりと)で、
言霊の力により自身の罪や穢れを祓う意味合いがあるそうです。
夏越の祓に欠かせない「水無月」。
白い外郎生地に、魔除けとなる赤色の小豆を散りばめ、
三角形に切り分けて氷のかけらに見立てた菓子です。
かつて、夏の氷は大変貴重なものであったため、
宮中では旧暦六月一日に氷室から取り出した氷を食して、
夏を無事に過ごせるように祈ったそうです。
一方、氷を手に入れることのできない庶民の間では、
氷を模した水無月を食す慣わしが定着し、今に至るまで親しまれています。
心身を整え、気を改める夏越の慣わし。
残る半年も清らかな気持ちで過ごせますよう。