生きとしいけるものすべてのなかに命がある。
種を蒔き、しんぼう強く四つの季節を過ごして実りを待つ。
天を仰ぎ、地を耕し、雨の恵みにあらぶる神を祈りで鎮める。
繰り返す営みの果てに、手をあわせ、命をいただく。
瑞々しい豊かな大地のなかで育まれた、小さな宇宙を和菓子と呼ぶ。
ひと粒の菓子のなかに、命の喜びと、
はかない美しさをあらわしてきた私たちの国。
うれしいときも、悲しいときも、
わかちあうためにつくられた、幸せのかたち。

和菓子には、自然の恵みを享受し、
四季の移ろいを慈しむ心が息づいています。
とは、日々の果子屋。
伝統的な日本の美意識を進化させ、
現代の暮らしに合わせた菓子づくりをしています。
時代を越えても変わらない伝統的なこと。
まだ見たことのない新しいこと。
常識にとらわれない豊かな価値。
これからの様式──。
それがの志です。

果子 よろこぶ

「菓子」はもともと「果子」と書き、
干した果実や木の実を食したのがはじまりだった。
果実が人をとりこにするのは、甘さの奥に命があるから。
太古の記憶を辿り、現代の暮らしに合わせた菓子をつくる。
目で愉しみ、耳を澄まし、ほのかな香りをきく。
手に触れ、舌で感じ、そして、味わう。
日常にささやかな喜びを添える、
日々の果子。

つつしむ

「包む」とは、「慎む」こと。
穢れのない清浄なものであることの証であり、
そこには、贈る人の慎みの気持ちが込められている。
日本の伝統的で美しく機能的な包みのように、
藁や竹など身近な植物を巧みに使い、
できるだけ簡素に、静かに。
くるむ、結ぶ、さげるといったしぐさが、
体温と一緒に感じられる材料と形を用いて。
美しさの意味を伝える。

つどう

店には、「気」が宿る。
「気」がなければ、それはただの箱にすぎず、
人が集まり、「気」が積もることで、店という場となる。
そこに集う人々の一期一会の瞬間を言祝ぐために、
設え、所作、ひとつひとつに心を込める。
もてなす側ともてなされる側が一体となり、
共感という名の喜びがうまれる。