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茶の湯の作法
店内の階段を上がると2階はバーになっている。静かな落ち着いた感じの空間は茶室を思わせる。低めで広々としたテーブルが2つ、そのまわりにゆったりと座り心地の良さそうな椅子が置いてある。テーブルにはお茶のお点前用の茶釜がしつらえてある。ここでお酒を飲みながら、和菓子をつまむ。僕らは、深く座れる低い椅子に腰かけた。
ひとすじの湯気を立てている茶釜を前に、お点前さん(ヒガシヤではバーテンダーをこう呼んでいる)が座っている。小野クンがマルコのために梅干しの入った"ショーチューのお湯割り"をたのんだ。
マルコは、ひと口飲むと、すっぱそうに口をすぼめ、顔をしかめた。「やっぱりダメかぁ、身体にいいのに。ゴメンネ、じゃあ、シンプルなごま焼酎はどうかなぁ」と小野クンは彼のために注文し直した。
お点前さんは、棚から酒のボトルを選ぶとテーブルの上にのせた。あらかじめ柳包丁で6センチほどに削られた四角い氷のかたまりを大きなグラスに入れると、酒をそそぎマドラーで回す。それも1回転円を描くように。グラスを片手で持ち、一方の手をそえてマルコの前に置いた。マルコは口にするとこんどは笑みを浮かべている。一連の動作は、茶の湯の作法のようにスムーズに行われた。棚に並ぶ香味酒が入った焼き物のボトルもモノトーンで統一され、騒がしい色や装飾は一切ない。
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ただ桜並木に面して大きな窓があるだけだ。この窓から1年を通じて木々の呼吸が伝わる。春になると、窓は桜の花でいっぱいになる。気も狂わんばかりに咲き誇る桜は、ヒガシヤの名脇役だ。
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